「はぁあああああ」


あたしは今日何度目かのため息を吐いた。


「やっぱ、そうなったか……」


傍にいた沙耶がコーヒーを口にしながら、ポツリと呟く。

あたし達は今日、映画の試写会に出かけた。

先日優一君がくれた試写会のチケット。

卓巳君がダメだったので、あたしは沙耶を誘って観に行ったのだ。

今は映画を観終わった後、駅前のカフェでお茶を飲んでいる。



「何が？」


沙耶の言っている意味がわからないあたしはキョトンとした。


「だからぁ、好きなんでしょ？　関口卓巳のこと」


まいったな。

沙耶は何でもお見通しのようだ。

あたしは返事をする代わりに小さく頷いた。


「やっぱりね。萌香には、カラダだけの関係なんて無理だと思ってた」


沙耶はそう言って、長い髪を耳にかけた。


「ていうかさ……。例外はあるけど、女はやっぱ心と体を切り離せないよ」


「じゃ……男の子はどうなの？」


「残念だけど……男は欲求を満たすためだけのエッチができる人の率は女より高いと思う」


「やっぱ、そっかぁ……」


あたしはまた、はぁと小さくため息をついた。


「確かめてみなよ？」


「ええっ……」