髪は無造作に散らして、きっちりと着ていた制服も崩す。


ヒロシの作戦は、ここから始まり、今に至る。


「元は悪くないんだから」とは、昨日以来のヒロシの口癖。


いつもより早起きして、鏡の前で自分自身を眺める事、約20分。

鏡に映る自分の姿は、昨日とは全く違って見えた。


第二ボタンまで開いたワイシャツに、前を開けた学ラン。

ワイシャツの下には黒いTシャツで、ヒロシとお揃いなんだとか。


昨日まで、長ったるくて邪魔だと思っていた前髪も、後ろ髪と一緒に散らしてしまえば、昨日の僕の面影なんて無い。


最後に、コンタクトから黒ぶち眼鏡に変えた自分の顔には、もう散々言われたヘタレっぽさなんて何も無い。