物音一つしない静まり返った教室





話し声はおろか、この時間、いつもは聞こえるであろう黒板を走るチョークの音さえも聞こえない





かすかに聞こえるのは、窓の外から鳴る車やバイクのエンジン音くらい





そんな何気ない音すらも、今の静まり返ったこの空間に異様な程響き渡っている





そんな中、クラスメートだけでなく先生の視線までをも集めている私、こと高科美空(たかしなみく)





そう、認めたくはないが、こんなどうしようもない状況を作ってしまった張本人である





そもそも、この異様な空間(校則
違反の見本が制服着ているような
クラスメートと、顔のつくりは結
構良い部類に入るはずなのに30代
になっても独身、彼女なしの担任
教師から食い入るように見つめら
れている光景は、この状況に至る
までの経緯を知らない人物が見れ
ば、もはや「異様」としか言いよ
うがないだろう)の要因は、昼休
みを10分程過ぎた頃まで遡る