……道に迷った。
ついでに、ガソリンの残りも怪しい。

適当に走らせているから、
地図なんてあっても無いようなもんだ。
広い範囲の、大雑把なのしかないし。


でも、ホテルとガソリンスタンド
それに飲食店やなんかには寄らないと。

一応車に予備のガソリン、
携帯食料、毛布は積んでいるけれど
快適に安心に過ごせるに越した事はない。

……金?
こんな生活の前に貯えはしっかりしている
俺は元々、建設的な性格なんだ。



「あ、誰かいるよ」

助手席に座る彼の言葉に、辺りを見回す。

「……どれだけ先だ?」

彼は、視力もかなり上がっている。

「あと500m位先かな?」





カーブのかかった道を進むと、
確かに誰かが、道端に佇んでいた。

「ちょっと声かけてみるよ」

そう言って、彼は車外に出た。

これは、俺の場合もしかすると
相手が襲い掛かってくるかもしれないから
向こうが人間かどうか解らない時は、
いつも彼がコンタクトをとっている。


少し待つと、彼が手招いた。
これは、降りてきても大丈夫という事だ。


エンジンを切り、
彼と――恐らく少年のもとへと歩いた。