私はこの閉鎖的な街で、
神と崇められ生きてきた。




その始まりは、私がまだ幼く、
今とは違う、見た目だけでは無く
本当に少女だった頃まで遡る。



ずっとずっと昔。

その頃は今より少しだけ
木々は少なく、閉塞感もあまりなかった。


だけど元より稀だった周囲の街との交流。

それがさらに減ったのは、
ある年流行った伝染病だった。


今では確立されている治療法も、
あの頃には誰も、知りはしなかった。

それは他の街でも同じで、
病が蔓延してしまったこの街は、
あっという間に見放されてしまった。


誰も逃げ出せず、死を待つしかない。


そんな街で、いつしか噂が広がった。


『健康な者の血肉を摂りいれれば、
 流行病はすぐに治る』


ありもしない、そんな噂が。