「またもやゴーストタウン?」

「たまには、
 人の居そうな場所に行ってみるか?」

元々観光地だった土地なら、
今でもきっと、賑わっているだろう。

でも今日の所は、
そんな場所にはたどり着けない。


「でもこんな所も、
 意外な穴場スポットかもしれないよね」

「……楽しめそうな物、無いけどな」

見渡す限り、荒れ地と廃屋。


「ははっ、まあしょうがない!
 でもホラ、水道はあるっぽいよ」

「水、出ればいいけどなー」

そうしたら、車中泊がちょっとだけ快適になる。


「見て来るよ」

そう言い残して、彼は
何かがあるらしい方へ向かうため、車を降りた。


例によって、それは遠くにあるので
俺の視力ではまったく見当がつかない。

とりあえず彼の帰りを待とう。

そう思った時だった。


「ちょっ、危なっ!」

意外と近くから、彼の声が聞こえてきた。

「イサク?!」

彼の名を呼びながら、俺も車から降りる。

何かあったのだろうか?