「ひっく…。うぐっ…! …めなさい。ごめんなさいっ!」

少女は泣きながら、スケッチブックに筆を走らせる。

血のように赤い満月の光が、美術室の窓を通してスケッチブックを照らす。

そこに描かれていたのは、少女自身だった。

場所は今いる美術室。

絵の中の少女は、そこで首を吊っていた。

泣きながら少女は絵を完成させる為に、必死に色を塗っていく。

「こんなことになるなんて思わなかったの! ゴメンなさい! 許して!」

何度も涙を拭いながらも、それでも手を動かし続ける。

「ゴメンなさいっ…!」

しぼり出すような声を出し、少女は最後の赤い色を塗った。