「香奈おかえり。お弁当出しといてな」
「わかった」
 私は鞄の中からお弁当と水筒(ロフトで買ったやつ。決してダサい水筒ではない、決して)を置いた。
 と、瞬間。
「痛い痛い痛い」
 女子にはおなじみ、月に一度のあれ。昔風に言うとアンネ、マニア風に言うと玉姫様、
割と言われている風に言うと女の子の日、短く言うと生理。
 痛いと叫びすぎて脳内でゲシュタルト崩壊。
「大丈夫かいな」
 鎮痛剤を片手に心配そうに見る母親。
私は無言で鎮痛剤を奪い取りトイレに駆け込む。

 なぜテレビの中の女性タレントは常に笑顔なのだろうか。
長時間のコンサートをこなすアイドルも。年齢的に言えばもう当然生理は来ているはずである。
 中には一人くらい舞台の端で体育座りしている子がいてもいいものだ。
というか、個人的にはそのほうが萌える。
「生理系女子」
 頭の中に浮かんできた言葉に少しだけ微笑んだ。
女子特有のか弱さとほんの少しの不運さ。
私、人より体が弱いの。
 これなら料理好きアピール系女子に勝てる気がした。
と思った瞬間に強い腹痛と共に吐き気が訪れ
私は便器に座ったまま腹部を押さえて前かがみにうなだれた。