授業の終わりを告げるチャイムを聞き、春田は徹也を起こすために立ち上がった。


仕切のカーテンを静かに開けると、徹也は左手を額に乗せて目をつぶっている。
春田が側に寄っても微動だにしない。


(眠ってるのかしら。眠った顔はあどけないのね。やっぱり悪い子には見えないなあ…)


「福山君、授業が終わったわよ?」


春田が声を掛けたが、徹也に起きる気配はない。


「ねえってば…」と言いながら、徹也の肩に手を伸ばした時、徹也の目がパッと開き、伸ばした手をギュッと掴まれ、強く引き寄せられてしまった。