朝から飛びかう偽りの情報。

サイトを開いても友達のつぶやきは夢物語ばかり。

モデルになったとか
恋人ができたとか
何かの大会で優勝したとか

嘘ばかり。

この日だけは自分の夢を堂々と口にできる日。

なら僕も口にしていいのかな?

ベットに横たわり、僕はケータイにむかってつぶやく。

「僕…彼女ができました」

つぶやいて苦笑い。

それでも続けてみた。

「相手はサイトで知り合った女の子。
年下で優しいこです。」

僕は上半身を起こしてベットの柵に寄り掛かった。

「一度も会ったことないけどメールをするうちにその子のことが好きになって告白しました。」

僕の頬を冷たい雫が流れ落ちた。

「僕はふられました。
でも、待っていると約束をしたんです。」

僕はベットから立ち上がって、部屋を歩き始めた。

部屋に散らばったスケッチブックや絵の具が僕の足に弾かれて、音を立てる。

「そうしたら昨日彼女からメールがきて付き合うことになったんです。」

僕はベランダに出る。

外はもう夕暮れ。

「めでたしめでたしだね」

━━さぁ、どこまでが嘘かわかるかい?

隣の部屋には楽器と録音用の道具。