「うわー!」

電車を乗り換え、さらに遠くへ向かった二人は

やっと電車から降りた。

そして、

海は目の前の光景を見て目を輝かせる。


「綺麗だね。」

微笑み、海は目の前の大きな湖を見た。

「うん、綺麗。」

遥の視線は海に向いている。

それに気づかないまま、はしゃぐ海。

そんな彼女を見て小さく笑うと、遥は海の手を取った。


「行こう。」

「・・・うん。」


誰にも邪魔されない場所に行きたい。

そうは思っていても、現実は上手くはいかないことを

なんとなくわかっていた。


「今日はどこに泊まる?」

「お金もないし、どっか住み込みでバイトできるようなところあれば

いいんだけど。」

「あ、あそこは?」

海がばっと指さした先には、

住み込み可能、バイト急募。 の看板。


「湖の近くの、屋台?」

「うん、楽しそうじゃない?」

とにかく行ってみようよ!と海は走る。

「あ、待てって。」

そのあとを遥は追った。

階段を降りると数々の屋台が並んでいた。

まだ朝早い為に活気はないが、

店の準備をしている人が大勢いる。

看板に書いてあった屋台まで向かえば、小さなワゴン車を見つけた。

近くには何個かテーブルが置いてある。

そこで一人、テーブルを拭いていた男性に声をかける。


「あのー・・・。」

「ん?」

男性は振り向き、二人を見た。