「父様、奏…絶対に嫌だって平助君達に言ってましたよ??」


「響。お前だっておかしいと思わないか??世が世なら奏様は雷焔の一姫だ」


「そうですけど…奏が嫌がるのを無理強いするのは」


「そこは私も分かっている。昔からご自分が決めたことは、最後まで貫く方だからな」


「ならどうして平助君達に着物を預けたりしたんですか??」


「あれは代用品だ」


「代用…品??」


「あぁ。さっきも言った通りの奏様の性格だ。着る可能性は低い」


「それで??」


「そのまま着られずに切り捨てられる可能性だってある」


「確かに…」


「よって、万が一のことを考えてまだ用意してあるんだ」


「…父様」


「…奏様には雷焔の里に戻って頂きたいんだよ」


「父様…」


「…まぁ、奏様の考えが第一だ。それこそ風戸のようにするつもりはまったくない」


「…それでこそ父様です」


「さて、そろそろ屯所へ行くか」


「そうですね。出る前に山南さん達にお茶を出してきただけですし」


「桜花…お前も一緒に来るか??」


「ニャー」


「じゃあ、行きましょう」