ホスト何てしたくてやってるわけじゃない。



もちろん、嫌がるこの女に来てもらいたいわけでもない。



全ては、金を稼ぐため・・・。



15のときに母親が男と駆け落ちして、16のときに父親が自殺。



兄弟はいないし身内もいない。



当然だ。俺の親たちは駆け落ち同然で結婚したから。



だから、一人で稼ぐしかなくて・・・。



仕方なく給料のよさそうなこの仕事をやっている。



無理やり襲われそうになった女にそういう名刺を渡すなんて最低だと思う。



だけど、俺も生きるのに必死で・・・。



しょうがない。



そうやって言い訳してる。



死にたくなって、自殺しようとしたことも何度もある。



でも、その度に父親が死んだときの姿を思い出して怖くなって止めた。



今でもたまに、父親の夢を見る。



俺は、父親に「もう死ぬなよ」なんて言ってみる。



そうすると父親はニコッと微笑んで、首吊りロープを天井に吊るして中に自分の頭を入れて――



死ぬ。



その死んだ姿がとても生々しくて、恐ろしくなって俺は飛び起きる。



そんな夢を、週に2回以上見る俺は、怖くて自殺なんて出来ないのだ。