「春ちゃんっ」 私の目の前を歩く春ちゃん。 私は追いつこうと駆け足になる。 「緋夜梨!」 後ろを振り向いて笑顔で私を呼ぶ。 私はその大きなぬくもりへ笑顔で駆け出す。 春ちゃんに手が届こうとしたとき、 「ばいばい、緋夜梨」 「え?…」 春ちゃんの手を握ろうとしたらフッと空気を掠める。 目線を上げれば、 いつもある優しい笑顔はなく、 悲しい笑顔。