≪―涼side―≫
半年後。
また、桜が満開に咲き乱れる季節がやって来た。
新しい制服に身を包んで。
柄にも無くワクワクしてたりしてな。
……俺は今日、高校生になる。
「なあ、マジで居ると思ってる?」
俺に目線を向けることなく遥が言った。
そんな遥は最近、更に垢抜けてかっこよさに磨きがかかったような気がする。
「でも、まあ信じてみるしかないっしょ?」
そう言ったのは、相変わらず黒髪にピンクのメッシュを入れた髪型をしている雅だった。
足元に転がっていた石ころを蹴りながら歩いている様子。
「まあな……真さんが桜ヶ丘高校の受験を俺達にすすめて来たのも、桜ヶ丘高校の見学で泉を見た奴が居たってぇのも……偶然だとは思えねぇよな」
俺の言葉に、雅と遥がうなずく。
……桜が、ひらりと舞った。