5月中旬の職員会議

「最後になるけど、明日からこの学園に新しい魔法の先生が来るわ。」

「岡田先生、何か聞いてます?」

狭山が訊いてくる。

「いや、知りません。

どうせ、学園長の独断でしょう。」


「そうよ。

独断だけど文句あるかしら?」

「…いえ。」

「そう。

じゃあ、幸大君は新しい子をちゃんと教育してね。」

「はい?」

「魔法の教師は普通の教師と違うの。

それに、魔法があまり得意じゃないのよ。


じゃあ、職員会議はお仕舞い。

皆、お疲れ様。」


「岡田先生も大変ですね。」

「まったくです。

新しい人が来たら楽ができると思ったんですけど。」

「今は三学年全部を教えてますもんね。」



「幸大君、元気?」

「気が滅入ってます。」


「明日来る、新しい子、しばらくは幸大君の助手兼実習生として幸大君に付かせるから。」

「もう、どうでもいいです。」


「ちなみに、その子、

可愛い外人よ。

魔法は使えないんだけど、魔法陣を多彩に使うわ。」

「魔法陣が使えるなら魔法が使えなくてもいいじゃないですか。」

「まぁ、そうなんだけど。

魔力が足りないのよ。」

「魔力が?」

「魔力って、元々の量も大事だけど、何よりもたくさん魔法を使うのが大事なのよ。」