職員室に段ボールが一つ運ばれた。

「何ですか、これ？」

「幸大君の授業の教材よ。

開けてみて。」


開けると金色のブレスレットが入っていた。

「純金ですか？」

「鍍金よ。

聞くのはそこじゃないでしょ？」

「一体何に使うんですか？」

「魔力を引き出すのよ。」

「引き出す？」

「そうよ。

貴方も、魔力を外に放出するなんてまだできないでしょ？」

「まぁ、そうです。」

「このブレスレットは強制的に魔力を体外に出せるの。」

「へぇ。」

「試しに、幸大君、ブレスレットをはめて。」

ブレスレットをつける。

「手が光ってます。」

「まさかこんなに光るなんてね。

やっぱり、貴方は魔法の才能があるわ。

じゃあね、この魔法陣に触れて。」


「解りました。」

触れた瞬間。


「学園長、樹が生えました。」

「おかしいわね。」

桜が咲いた。

「桜が咲いてますけど。」


「へぇ。

実はこの魔法陣、花が咲くんだけど、まさか樹まで生えるとは、さすがね。」

「この樹、どうします？」

「取り敢えず、魔法陣から手を離してブレスレットを外してちょうだい。」

ブレスレットを外す。

「外しました。」

「じゃあ、私の最も得意な魔法見せてあげる。」

樹に、学園長が触れた瞬間。


「消えた？」

「魔力分解よ。」