お嬢様のお部屋の隣にある、少し小さめのお部屋。


ここが、私。

五十嵐 零の部屋でございます。


あまりモノという物は置いていません。

目に留まるものは、ベッド、本棚、大きな鏡くらい。



只今、5時丁度。



執事の朝は早いのです。


夜は遅いし、朝は早い。

人気芸能人と同じくらいハードな日課だと思われます。





さて、まずは着替え…



「れーーいーーっ!」



お嬢様の鬱そうなお声が部屋に響き渡る。



私とお嬢様を遮る壁だけ、特殊に壁が薄いので五月蝿いくらいに聞こえます。
お嬢様の、普通の大きさならば可憐なお声が。


「まったく世話の焼けるお嬢様だ」


素早く燕尾服に着替え、お嬢様の部屋へ向かう。