教師たちの声だけが響く廊下。
私はなるべく足音を立てずに、そろりそろりと歩く。


私のクラスの教室の中から微かに聞こえる男共の話し声。

声を聞くだけで、鳥肌が立ってしまった。


気持ちが悪い。


足元がクラついて、倒れてしまいそう。

私は一つ大きく呼吸をして、ドアに手をかけた。



ガラガラッ



教室に入った瞬間、ピタリと空気が静まり返る。

教卓には、私を見つめるおばあさん先生。


「おはようございます」

「あら、おはよう。藍澤さん」


小さく一礼をして、足早に自分の席へと向かう。



『朱里様の御登校だぜ』


コソコソと話をする馬鹿面の男子生徒をあえて無視をすることにした。

いちいち気にしていたら、埒があかないし。



教室の一番隅っこ。窓側の席。

新品同様にきれいな机の上にバッグを置き、腰掛ける。