「お嬢様…お目覚めの時間ですよ」



朝からダルさひとつ感じない声。
甘ったるく、甘美に響き渡る。


五十嵐 零。私の執事。


彼がいるから、目覚まし時計なんかいらない。
寝坊をすることもない。


サッとカーテンが全開に開けられて、鬱陶しいくらい眩しい太陽が部屋を照らす。

それと同時に目を薄めることになった。


眩しいわよ……この馬鹿。



光に包まれた部屋。

昔の英国貴族のような気品のある部屋に似合わず、色々な国のたくさんのぬいぐるみや人形が無造作に置かれている。




これが、私の毎朝のように繰り返される光景。