【桃依side】


がっしゃん!
そんな音がしてボクは手を止めて、音のした方を見た。


「ごごごごごめんなさいっ!今片付けます!…っ…!」

「美風(ミカゼ)!だいじょーぶ?」

「…だだだだだ大丈夫です…はいっ…。」


皐月美風(サツキミカゼ)。14歳。
栗色の髪をみつあみにして作業場で働く女の子。


「…指、切っちゃってる。
ねぇー!ボク、美風の治療に行ってくるからここ直すのお願いねー!
ボクの指示がなくても作業は大丈夫だよね?」

「大丈夫です。桃依様。」

「サマ、なんてやめてってばー!
それじゃ行ってくるね。みんなもケガだけはしないように気を付けて。」

「「「「「はいっ!」」」」」

「うん♪いい返事!
美風、行くよ?」

「で、でもっ…桃依様のお手を煩わせるわけには…。」

「ボクのお手じゃなくて白斗のお手を使うからボクには問題なーし!
白斗ならすぐ治してくれるからねっ!」

「だ、大丈夫ですっ…こんなのすぐ治ります…っ…。」

「…だめ、だよ。美風、女の子なんだし。キズ残っちゃったら勿体ないよ。せっかく綺麗な指してるんだから、ね?」


ボクがそう言うと、美風が頬を赤く染めて俯いた。
みつあみの隙間から見える耳まで真っ赤で可愛い。