3月12日、どんなに悲惨な事態がおきていても必ずお日様は私たちを照らしてくれる。


真夜中に着いた避難所で余震に怯えながら過ごした一夜が過ぎて空は明るくなった。



「本当に行くのかい?」


一夜、私の傍にいてくれた井上さんと新田さん、それに助けてくれた男性はスニーカーの紐を結び直していた私の肩に手を置いて心配そうに声を掛けてくれた。


「火事もあるし…水も引いてないんだからもう少し此処にいたら?」

「そうだぞ?今出たらまた余震で危ないから…」


新田さんも助けてくれた男性、清水さんと言うらしいが…二人が本当に私を心配してくれているのが伝わって…申し訳ないながらも私は首を振った。


「此処の住人じゃないし…家族に無事だって知らせたいんです。
それに…東京も揺れただろうし、母のいた埼玉がどうなったかもしりたいんです。」


私は東京に戻ると決めた。

火事や津波の水、道路も寸断された状態で戻れるかはわからなかった。
それでも、じっとしてはいられなかった。


「親友も探したいんです。子供達も…手を繋いでたのに助けられなかったから…」


津波にさらわれる直前まで手を繋いでいためぐみの息子、娘を抱いたまま流されためぐみ…
生きているかすらわからないけれど、探したかった。


「………そうか……わかった。ちょっと待ってなさい。」


清水さんはそう言って自分が背負っていたリュックをそのまま私に手渡してくれた。