美しき執着


月夜に踊りながら
虚空をつかんだ
激しいステップに汗の玉が光る
闇を蹴る爪先と
月光を切り裂く指先
弓なりに反らせた腰が
その衝動を全身に伝えて
弾ける
空を切る腕
自分を抱きしめる腕
回る回る
地を踏み切る足と
そして一瞬の飛翔

虚空を指さし
静かに立ちつくす

──私だ
──踊っている

それだけが
ああもうそれだけが
私とこの世を繋いでいる



(高校2年生の時の作品)