レーズン


嫉妬と喪失が自分を滅ぼすのだ
生きたまま火にくべられて
炭になる指先に触れる
干し葡萄

朝・昼・晩
食べ物はそれだけ
自分で決めたわけじゃない
食べられるものは
それだけ

葡萄酒がキリストの血ならば
干し葡萄はヨセフの糧
神に孕まされた妻を見て
彼は何を信じたろうか

語られない男の口にする
干し葡萄の苛烈なほどの
甘さ
苦しいくらい甘いね
そうさいづれ
愛の中に死ぬからな

激しい痛みの中の
予感さえ涸れ果てた時間に