《枝真Side》


「大丈夫ですか?」


人だかりの後の方で、口元を押さえしゃがみ込む女性に尋ねる。女性は酷く震えていた。


「ぁ…あそこに………」


指差す方向には、人だかりしか無い。


「ひ…人が………」

「もう大丈夫ですよ。私達は刑事です」


女性の背中を優しくさすってから人だかりを掻き分け前に進んだ。


「………これはっ……」

「酷いなんてもんじゃねぇな………。すぐ鑑識を呼んだ方が良さそうだ…」


目の前の光景に、灰も眉間にシワを寄せている。


それもそのはずだ。目の前に広がるのは八つ裂きにされた少女の遺体。


それに縋り付く少女の両親だった。


その少女は菜野香とあまり歳が変わらない。中学生だろうか…。