「…では不審な人物等は見なかったんですね。ご協力ありがとうございました」

かれこれ4時間。聞き込みをしているものの、有力な情報は得られ無かった。


「なんだって誰一人目撃者がいねーんだよ…。こんな大通りで起きた犯罪なら悲鳴とか聞いた奴ぐらいいるだろ?」

暑さとこの無力感にイライラする。


「チッ…いねぇから困ってんだろーが」

「あぁっ!?絡んでくんなや灰が」

「黙れ枝!!暑苦しいんだよ!!」


ムカつく…腹の底からムカつく……。ただでさえ暑いってのに…。

灰を見てると暑さが倍増する。


「ほら〜先輩達!とりあえず戻りますよ!」


ミノはあたしと灰の背中をグイグイと押す。


「って…ミノ!まだこいつとの話は終わってねぇ……すいません…」


やばいっ…ミノが無言で微笑みかけてきた。黒い…笑顔がどす黒い…。


身の危険を感じてとりあえず謝った。灰はびくびくしながら口をつぐんでいた。

やっぱりミノには勝てない。そう思った瞬間だった。