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千秋のつわりが治まり、
心なしか食欲が増している気がする。





ある日の休日。

リビングから出て、千秋がまたこそこそ電話していた。



俺はリビングの外で話す声に神経を集中させる。




「名前決めたよ♪」




…おい×2。
普通、二人で話し合って決めるだろ…
俺だっていろいろ考えてんだから。





「…男の子は、《スケ》か《カク》!あ。《弥七》もいいかも♪」




…は?水戸黄門かよっ!!
ふざけてんのか?




「女の子は…《マツ》、《タケ》、《ウメ》とか♪」




…千秋大丈夫か?!
松竹梅なんて有り得ねぇし!!!







…もう我慢ならん。



「千秋!!!!ふざけんな!!!名前は一生モンなんだぞ?!?!」




俺はリビングのドアをバンっと開けて怒鳴った。






「…へ?」

千秋は目が点…



「お前、母親になるってもっと自覚持てよ!!
そんなんだから、今の若いお母さんは…なんて言われるんだそ?!」





千秋が目をぱちぱちさせて俺を見る。





「つわりだって辛かっただろ?!
あれはな、お腹の子が母親に自覚させる為なんだってよ!!」


…ネットからの情報だけど…






「あ…あの…奏?勘違いしてない?あたし…妊娠してないよ?」




…は?
俺、耳おかしくなった?





「…へ?今なんと?」




「あたし妊娠してないよ?」