7月16日。
今日は祇園祭の宵山の日。
学校が終わると急いで帰宅し、支度をする。
浴衣可愛いって言ってくれるかな?
髪巻いてるのおかしくないかな?
ドキドキしながら先生との待ち合わせ場所へ。

「こんにちは!」
「おー…。うん。あ、ちょっとここ人多いしさ、どっか行こう!」

先生…なんかそっけなかった。
もしかして私おかしいかなっ?
どうしよう…。

「も、もうすぐ、陽菜との待ち合わせだし…向こう行きましょう。」

あまり時間がないので、人ごみの中を必死に歩く。
途中、横断歩道で止まった。
その時隣にいたおじいちゃんがニコニコしてて、私は思わず…。

「…こんにちは。」

その見ず知らずのおじいちゃんに、挨拶をした。
手を振るおじいちゃん。

「…ん?何か今の、おかしくないですか?あれ、えぇ!?」

なにがなんだかわからなくなって…。

「…本当もう何してんだか。」

先生…怒ってるのかな。
どうしよう。
今日は失敗しまくりだよ…。

あっそうだ!

「あ、あのこれ。こないだ買って…。」
「何これ?勾玉ストラップ?」
「私のと先生の、ペアで…。」
「…。ありがとう。」

「美佳ー!絢哉ー!」

後ろから陽菜の声がした。
わっ…綺麗…陽菜の浴衣姿。

「ちょっと聞いて!この子、彼氏の僕がじっくり浴衣姿見る前に、他の奴に見られて挨拶までしてさっ。」

むすってする先生。
私も陽菜も固まった。

「「ぷっ。ははは!!」」

私も陽菜も笑った。
だってあまりにも、先生が可愛かったから。

しばらく祇園祭を楽しんで、陽菜の提案で花火をする事になった。
紙コップの中にロウソクをたてて、そこに火をつける。

「よし、やろっか!」