「…何か…訳ありか?」


男の人は心配そうにあたしを見つめる。あたしは目の前の男の人を見上げた。


見た目は恐くて…感情をあまり見せない人。でも、今あたしに向けられているのは優しい眼差しだった。


「…あ…あの…………」


とりあえず、御礼を言わないと。この人が助けてくれなかったら…今頃大変な事になってた。


「………なんだ?」


無表情のまま、男の人はあたしを見つめる。


「あ…の……助けてくれて…ありがとう…ございます」


あたしはバッと頭を下げた。そんなあたしを、男の人は驚いたように目を見開いて見ていた。


「…くくっ…お前…面白い奴だな」


小さく笑い、あたしの頭を優しく撫でた。


あれ……?これ、この人の癖なのかな…?


さっきもこうやって頭を撫でられた。その手は優しくて、出会ったばかりだというのに安心出来た。