高校2年の5月

今まで おれを恋愛対象にするやつなんていないと思ってた

勿論おれ自身も アレ以来 恋とかしたことなかった


だけど…



『冬野 柚希 サン …好きです!…』



と おれを呼ぶ声


聞き間違えだろうと 見向きもせず 帰り道を進んだ


『冬野 柚希 サン… 好きです!…』


と また聞こえる


クラスの男子のおふざけだろうとまた無視して帰り道を進む




(!)

振り払おうとしたときには遅かった


俺は 誰かも分からないやつに手首を取られた



『何で 無視すんだよ!』



『放せっ!てかあんた… 誰?』


見たことある顔だ

でも はっきりと覚えていない


『人の告白…むししてんじゃねぇよ…』



『は?アレ おれに向けてだったの?てか人の質問に応えろ』



『…ったりめぇじゃん…お前しかいねーのに… てか俺のこと知らねーの!?』



なんだ この俺様キャラ…


ちょっとの間考えた

けど 思い出せない

『悪い 知らねー』


『嘘だろ…結構有名な方だと思ってたのに』


そいつは落ち込んだ様子だった


(あーぁ自分で言っちゃったよコイツ…)


だが


『じゃ 今から知ってよ 俺のこと』


『は?』

『2ーC 楠木 湊(くすき みなと)って言ったら少しは分かってくれるかな?』
『知らん』


『えぇっ!』



その時


『ゆーずーきちゃん』

と 俺を呼ぶ声



その 楠木 湊がはっとした顔で『じゃ また明日 学園で…』といって去って行った



『柚希ちゃん どうしましたの?…』

『あぁ 何でもない』
『嘘 ですわよね? 何があったか説明してくださいの』

桜はちょっと面白がって言ってくる

『やっぱ 桜にはかなわねーな(笑)』

とおれが話してるのは 同じ2ーBの春本 桜(はるもと さくら)

中学の時からの親友だ


ちなみに おれは 桜と同じ2ーBの 冬野 柚希(ふゆの ゆずき)


それから 桜にさっきの出来事を包み隠さず話した


『楠木… 湊君とおっしゃいますの?』

『あぁ』


直後 桜は何かを思い出したかのように驚いた顔をした


『楠木湊!思い出しましたわ!』

『どんなやつなんだっ?』

『あら~? 柚希ちゃん気になりますの?』