佐久間主任にムギューっと抱き締められる。

し、死ぬぅぅぅぅ。

腸が……

腸が……

まじで、マックスに危うい!!



「杉原君、可哀想に……。こんなに震えて……」


佐久間主任の抱き締める腕が、さらに私を窮地に追い込む。


杉原、もう……ダメ……です。

世間に顔向けできなくなるまで、もうカウントダウンが始まってしまったようです。


モーローとした私の目に、一筋の光が差し込む。



佐久間主任の肩越しに見えていたうっすらとした光はやがて、眩しいばかりの光となって目の前に迫り、思わず、目をしかめる。

「大丈夫か?君達!」

光の向こう側から声が聞こえて来る。

私と佐久間主任はほげっと光が差し込むドアの方に目をやる。


開いた?

開いたんだ!


数人の人影が光の向こう側に立っている。

私はハッとなり抱き締める佐久間主任をふっ飛ばす。

と、同時に、お腹が最後の警告音を発する。


いっ……

いかん。


力尽きる前に、行かなくては。

私は最後の力を振り絞って、猛然とドアに向かってダッシュする。



「杉原君!」と、佐久間主任の声。

「杉原!!」と、課長の声。


えっ?

ちょいまち!

課長の、声??


ドアから飛び出そうとした私の腕を大きな手がガッチリ掴む。



私は振り返り、そして、見覚えのあるその顔に、瞬時にその場に凍りつく。