トイレ行きたいモードONから、すでに15分45秒経過。


あ~……


声も出ないや。


冷や汗タラリと頬を伝う。



私のお腹は、さながら荒波に翻弄されるサーフボード。


セーフモードに入ったり、緊急モードに入ったりを繰り返しながら、もうかなりやばい感じで……。


「杉原君、どうした?」


分析力バッチリのはずの佐久間主任は、乙女のピンチには疎いらしい。


(いや、むしろそれでいいんだけど)



でも……

でも……

も……う……そ、ろ、そ、ろ……


あ~あ…………



だめ、かも。



意識が、モーローとしてきた。

はぁ~。

だめだ。


今度は力が入って、全身が震えだして来た。


だめ
だめ
だめ
だめ
だめ
だめ
だめ
だめ!

トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
トイレ
トイレェ~!


と、その時、突然、大きな胸にガシッと抱き締められる。


「大丈夫か。しっかりしろ!」


ああ。

課長……。

来てくれたんですか?

抱き止められた腕に必死にしがみついてみる。


これはきっと夢じゃ~。

すごくいい夢じゃ~。


でも、課長ちょっぴりお痩せになりましたか?

肩幅がちょっと薄い感じで……。

それに眼鏡なんか、いつから掛け……


掛け??

かけっ??

見上げればそこには佐久間主任の心配そうな顔。


ええっ?!