この声は……
もしや……
もしや……
恐る恐る振り返る。
「お前、どうしたんだ?その恰好は!」
やっぱり課長!
なんで?
どうして、課長がここにいるの?
ぼけっと突っ立って見上げている私の脇を隣にいたかぁちゃんが小突いて囁く。
「由紀!由紀!恥ずかしいけん、裾ば下ろしんしゃい!」
「え?すそ……」
太股辺りまでたくし上げた、着物の裾を慌ててガバッと下ろす。
確かに課長にこの着物姿を見せたいとさっき一瞬、思ってしまったけど、ナマ太腿を見られちゃうなんて……
恥ずかしさに顔がかぁ~となりつつも、ハタと思い出す。
「あれ?あの……課長、確か、今日、NYのはずじゃ……」
「ああ。空港に近いこのホテルに前泊して、これから行くところだが」
「……そうだったんですか」
一瞬でも課長がこのお見合いをぶち壊しに来てくれたのかもしれない、なんて乙女なこと考えちゃった自分が恥ずかしい。
会社の誰にも言っていないこのお見合いの事を、課長が知るはずもないのにね。
「由紀、この人、誰ね。えっらい男前じゃなかね」
かぁちゃんがヒソッと耳打ちする。
「あ。課長、紹介します。こちら、母です。えっと、かぁ……お母さん、こちらが私の上司の……元上司の奥田課長で……」
「まぁまぁ。初めまして。私、由紀の母でございます。いつも娘が大変お世話になっております」
私はびっくりして、豹変したかぁちゃんの態度にのけぞりそうになる。
驚く私を横目にかぁちゃんは、ペラペラと口からセリフを転がす。
「ほほほ。実は、今日、この子がお見合いすることになりまして、遠く九州から上京して参りましたの。まさか、こんなに素敵な方が由紀の上司の方だとは知らず、失礼しましたわ」
誰(゜_゜)?
この人?
母の娘歴23年。
未知との遭遇。
母、恐るべし。
驚く私の目の前で、「お見合い?」と課長が驚いたように呟く。
もしや……
もしや……
恐る恐る振り返る。
「お前、どうしたんだ?その恰好は!」
やっぱり課長!
なんで?
どうして、課長がここにいるの?
ぼけっと突っ立って見上げている私の脇を隣にいたかぁちゃんが小突いて囁く。
「由紀!由紀!恥ずかしいけん、裾ば下ろしんしゃい!」
「え?すそ……」
太股辺りまでたくし上げた、着物の裾を慌ててガバッと下ろす。
確かに課長にこの着物姿を見せたいとさっき一瞬、思ってしまったけど、ナマ太腿を見られちゃうなんて……
恥ずかしさに顔がかぁ~となりつつも、ハタと思い出す。
「あれ?あの……課長、確か、今日、NYのはずじゃ……」
「ああ。空港に近いこのホテルに前泊して、これから行くところだが」
「……そうだったんですか」
一瞬でも課長がこのお見合いをぶち壊しに来てくれたのかもしれない、なんて乙女なこと考えちゃった自分が恥ずかしい。
会社の誰にも言っていないこのお見合いの事を、課長が知るはずもないのにね。
「由紀、この人、誰ね。えっらい男前じゃなかね」
かぁちゃんがヒソッと耳打ちする。
「あ。課長、紹介します。こちら、母です。えっと、かぁ……お母さん、こちらが私の上司の……元上司の奥田課長で……」
「まぁまぁ。初めまして。私、由紀の母でございます。いつも娘が大変お世話になっております」
私はびっくりして、豹変したかぁちゃんの態度にのけぞりそうになる。
驚く私を横目にかぁちゃんは、ペラペラと口からセリフを転がす。
「ほほほ。実は、今日、この子がお見合いすることになりまして、遠く九州から上京して参りましたの。まさか、こんなに素敵な方が由紀の上司の方だとは知らず、失礼しましたわ」
誰(゜_゜)?
この人?
母の娘歴23年。
未知との遭遇。
母、恐るべし。
驚く私の目の前で、「お見合い?」と課長が驚いたように呟く。