あまりにも親密な課長の行動に、私の心臓はドンパパ、ドンパパの乱れ打ち。

なのに、課長は何でもない事みたいに、平然と食事を口に運んでる。

そう。

さっきのこともなんでもないことみたいに……。

ああ……

そっか。

そう言えば、さっき、課長、言ったよね。


私のこと、『小学生か』って。


はははっ……

だったら、課長にしてみたら私なんて完全に恋愛対象外じゃん。


別にさ。
私だって課長のこと、好きでも何でもないわけで。

女扱いされていない以前に、子供扱いなわけで。



別にそれだけなわけで。



…………なのに、なんで、そのことがこんなに悲しいの?

やだ。

しかも、涙がじんわり出てきそうになるのはなんで?


「ここの朝食もそれなりにおいしいが」


突然、課長の口から出て来た言葉に、ぎゅっと目を瞑って涙を押し込め顔を上げる。


「この間食べたお前の作った弁当の方が、おいしかったな」

「課長……」

「また作って来いよ。この前は、作って来るな、なんて言って悪かったな」


課長の優しい笑顔に思わず涙が零れ落ちてしまいそうになって、顔が歪んでしまう。

ずるいよ、課長。

人のこと地獄に突き落としたり、天国に持ち上げたり。

やっぱ、課長は鬼だよ。

天然に乙女ゴコロをもてあそぶとんでもないヤツだよ。


だけど……

だけど……


「どうした?杉原」


だけど、そんな課長のこと、なんだか気になってしまうのはなぜなんだろう?