有史以来、恋人を持った女性達は、こんな恋人からのムチャブリに応えるという幾多の困難を乗り超えて恋人としての地位を確立してきたんだと思うと凄いなぁ~としみじみ思う。


エプロンひとつ脱ぐのにもチョードキドキする。


課長は待ってる。


バッチリ待ってる。


この脱衣所の向こう側のお風呂場で……。


うわぁ~~~~。


ダメだぁ~~!


ベッドとお風呂。

戦場が違うだけで、もう、どうやって闘ったらいいのか分からない。(ん?闘う??)


「どうした?」


なかなか入らない私に痺れを切らしたのか、課長から有言のプレッシャーが掛かる。


「俺が脱がしてやろうか?」


「い!いえ!結構です!!自分で……」

『脱ぐ』なんて単語、言うのすら恥ずかしい。


絶対!絶対!課長はこの状況を楽しんでる。

私で遊んでる!

なんかムカムカっとしてくる。

女は度胸!男は愛嬌!って言うじゃない?!

覚悟を決めてばっと脱ぐと、扉をガラッと……

「課長~……。お願いですから、あっちを向いててくださいよ」

扉の陰にコソコソと隠れる。

「お前の裸なんて、散々見てきた。今更……」

「さっ、散々なんて見せてませんっ!!」

涙目で抗議する私に、ヤレヤレって顔で課長が向こうを向いてくれる。