あれから、終電も無くなって、会社に近い課長のマンションに行くことになり、2人でタクシーに乗り込む。

マンションに着くなり、課長に抱きすくめられる。

私たちは、そのままベッドに倒れ込むと、ブラウスのリボンをとくのももどかしいとでも言うかのように性急に課長が私を求める……。

課長の吐息が……

私を求める指先が……

全てが……こんなにも愛おしい。

いつの間にかできてしまった、もどかしいまでの距離感が徐々に埋められてく。

見えない未来の不安に怯えるよりも、今はただこのぬくもりを抱きしめていたい。



強く抱き合った後、課長が私の隣に荒い息をしながら仰向けになる。

小さな灯の下に照らし出される課長の横顔を、私も震える息を整えながらそっと見る。

なんか……恥ずかしい……。


そう言えば……今、灯り、消してなかった。

急いで手を伸ばす。

けど、その手に課長の指が絡まる。

「あの……課長……灯りを……」

「俺は、お前が怖いよ」

「え……?」

課長は私の手にキスをすると、そのまま握り締める。

「俺が今までパーフェクトだと思って……いや、思い込んで築き上げてきた世界を……お前は、その圧倒的なパワーでことごとくぶち壊していくんだ」

「ぶち壊す?私が??」

「……そう。粉々にな」

意味、分かりません。

コキュ?と首を傾げる。

「だが、俺はそれを心地良く感じている……」

やっぱり、良く分かんない。

でも、課長がすごく幸せそうな顔で笑うから、私もつられて微笑みを返す。

「間違いなく、お前は俺の人生の『最大の試練』だな」

「試練って……ひどいです!課長」

むくれる私をその胸に抱き寄せると、課長は嬉しそうに笑った。