日本に戻る。

……と、言うことは、課長と離れる……ってこと?

この人選はもしかして……課長が決めたの?



今、課長と離れたら、私達、もうダメなような気がする。

今は……このタイミングでは課長と離れたくない。

下を向きながら、泣きそうになって肩が震える。


そんな私の足を、隣に座っている佐久間主任がガン!と蹴る。

「今は会議中だぞ。しっかりしろ」

佐久間主任の囁き声に、現実に戻る。


散会の後、佐久間主任と私は課長の部屋へ呼ばれる。

課長と向かい合って、応接セットの向かい側に私たちは腰を降ろす。


「君達には報告しておく。日本でのスポンサー企業が決まった」

「どちらですか?」

佐久間主任が身を乗り出す。

「BOWだ」

「すごい……!」

日本だけでなく、海外にも進出している最優良グローバル企業だ。

「だが、付き合いはEXIT(イグジット:投資先の株式を公開して、上場株として市場で売却する)までだ。軌道に乗せて磐石な株主を複数募る必要がある」

課長が大雑把なスケジュールを示す。

「3ヶ月だ。その期間で、会社の設立から、システムの導入、人の手配、そして、プレス発表を行う。どうだ?出来るか?」

降りたい。

こんな大きな仕事、私に……出来るの?

「是非、やらせてください!」

佐久間主任は大乗り気だ。

「私は……」

「俺も日本に行く。正式なCEO(代表取締役)が決まるまで、しばらくの間、兼任する」

課長も行くの?!

日本へ?

「やれるな?由紀」

課長の強い瞳が私を捉える。