だけど……。

課長は、鬼だけど、本当は心の奥底に温かい心を持っていることも私は知ってる。


……一番良く知ってる。

はは。

やっぱり、チョー不安定かも、私。

ついつい色々なことを考えてしまう。


今まで、食べ物とかオシャレのことしか考えたことの無かった私の頭に、急に恋愛とか仕事とか結婚とか一斉に色々なことが沸いてきて完全にキャパオーバーだ。



それでも、もう……悩みながらでも進むしかないんだ。



もう来ないと言った課長のマンション……。



私は、タクシーを降り、高層マンションの最上階を見つめる。

そして、エレベーターに乗り、課長のマンションの扉の前に立つと、深呼吸をして、チャイムを押す。

返事が無い。

寝てるのかも。

……まさか、倒れて?!

急いで、スペアキーを取り出し、鍵を開ける。

扉を開けると、そこにはパジャマ姿の課長が今にも鍵を開けようと玄関に立っているところだった。