『……ということで、システム監査はいつに入れる?杉原』

スーパー早い英語でなんだか私に課長から質問が飛んできたらしい。

「システム監査の件は、どうなってるって聞いてるぞ」

佐久間主任がひそっと助け舟を出してくれる。

システム監査……。

システム監査ね。

えぇぇっと……いけない。

資料、どこ?

あった!

この資料の確か……。

し、しまった!

バージョンが古い。

システム監査の日程が入ってない。

だから、課長、聞いてきたんだ。

仕方ない、うろ覚えだけど、答えるしかない。

『ええっと、たぶん、来週の金曜日だったかと……』

『たぶん?俺たちの仕事に、『たぶん』はない。正確な日程を伝えろ』

課長の語気が強まる。

『すみません!手元資料が古くて。最新のを取ってきます』

立ち上がる私に課長が、待てと手で制する。

『いい。後で、全員にallメールしろ』

『……はい。すみません』

課長がはぁっと小さく溜息をつくのが聞こえて、胸がチクリと痛む。

『では、業務フローはコンプラにチェックしてもらったか?』

課長がまた痛いところを突く。

『いえ……まだ……』

『2日前には終わっているはずだぞ』

朝からの立て続けの失態に血の気が引く。

課長の声が冷たく会議室に響く。

『どうした?答えろ、杉原』

あの数時間前の甘い時間がまるでウソみたいに……。