1時間半。

長し!

でも、いたしかたあるまい。

顔をピョコっとドアから出すと、コクンとうなずく。

「風邪引くか、のぼせるだろうが!」

課長、お怒りの模様。

「でも、下着がないと……。私、すごくがんばって、その下着を購入したんです。

だから……」

初めての夜は、課長に見てもらいたいなぁなんて。

この乙女な気持ち、課長にわかるかなぁ?

ドアからチロンと見ると、課長があきれ顔で腕を組んで乾燥機に目を落としている。

わっかんないだろう~な~。

「だから、課長に……その、せっかくだから、見て欲しくて……」

「もう、見た」

「いやいやいや。違くて!

そうやって、グルグル回ってるのじゃなくて、私が着けているところを……」

「次に見せてもらえればいいから、とにかく上がれ」


いやん!

今、『次』ってサラッと言いましたね、課長。

『次』って!

最初の今夜だってチョーハードルが高いのに……

『次』なんて。

真っ赤になっている頬を両手で押さえていると、ドカドカと入ってきた課長がすぐ私の目の前に立ち、私の肩に手を置く。

「か、かちょ……」

「冷えてるじゃないか!」

「あ~、え~っと、だから、もう一度お風呂に……」

バスタブに行きかけた私の腕を課長がムンズと掴む。

「いい!オレが温める」

しかめっ面のまま屈み込むと、課長は私をヒョイと抱きかかえてしまったんだ。