「大丈夫か?」

しがみついているうちに、やがて揺れが止まる。

ほぉっと脱力して、課長の腕の中から離れる。

けど、近い!

ものすごく近いところに課長の顔がある。

しかも、ナイスなタイミングでもうすぐチュースポットだ。

でも……

どうやったらキスできるの?!

自分からキスするなんて、そんなハイレベルなこと、絶対できないよぉ~!!

どうしようか考えているうちに、もう観覧車のてっぺんに来てしまう。

「どうした?キスしないのか?」

課長の意外な言葉にキョットーーンとしてしまう。

「はいぃぃぃっ?!」

「観覧車乗り場の看板に書いてあったぞ。『てっぺんでキス』がどうの、『永遠』がどうのってな」

ばっ、ばれとる!

さすが、目ざといです、課長。

顔がかぁ~っと赤くなる。

「俺はあんなものは信じないが……」

課長は私の顎に手を添えると、私の顔をくぃっと持ち上げる。

「キスはしたい」

その大真面目な課長の表情がおかしくって、プーーッと吹き出してしまう。