ふみねぇと大垣さんは、出産をチャレンジすることを選択し、出産が可能な病院へと転院することになった。

転院当日―――。

準備でバタバタとしている時、ふと病室の窓から下を見ると、あの美魔女様がいた。

誰かの車椅子を押しながら、庭を散策しているようだった。

「ごめん、ちょっと出掛けてくる。」

私はふみねぇとかぁちゃんに告げると、ジャケットを着て急いで庭に出る。


「あの!あのっ!!澤村専務の奥様!」


美魔女様は振り向いて、目映いばかりの笑顔で答える。


「まぁ、由紀さん。先日はどうも」


「私こそ、すみません。ケータイをお借りしたのに、お礼もきちんと出来なくて」


私と、美魔女様が話していると、車椅子に乗った白髪混じりの男性が「誰?」と振り向く。


私はその男性を見て息を飲む。