とはいえ、5分はあっちゅーまだ。

病室に戻りかけて、ハタと思い出す。

いかん、美魔女様の存在、忘れてた。


「かぁちゃ……おかあさん、こちら、奥田課長のお母様」


慌ててかぁちゃんに奥田課長のお母様を紹介する。

「えっ!!!課長さんのお母様?ずいぶんお若くていらっしゃるんですのね」

すっげ。
さすが、かぁちゃん。
瞬時でよそ行きトークに切り替わっちゃってるよ。


「そんな。お恥ずかしいわ。先ほども、由紀さんに申し上げましたけど、50は超えてますのよ」

「ええっ!」

かぁちゃん、瞬間冷凍。
ナイス反応。
そうだよ。
とても、かぁちゃんより年上には全然見えない。

あんぐりと口を開けるかぁちゃんに、美魔女様が申し訳なさそうに会話を続ける。

「それより、大変なときにお呼び留めしてしまったようでごめんなさいね。
また、今度、是非ゆっくりお茶でも」

美魔女様の麗しいお言葉に、かぁちゃんと2人でウンウンと首を縦に振る。

「それでは、お大事に。御機嫌よう」

うっとりするほど美しいお辞儀を残して、美魔女様はシャナリシャナリと病院の門目指して歩いて行く。

「あがんキレか人が世の中にはおるんやねぇ~」

かぁちゃんも、女として早くも白旗を揚げた模様。

「ほんなごてねぇ」

なんて、相槌打ってる場合じゃない!

課長からの折り返しの電話まで、後2分46秒!!

「かぁちゃん、ごめん!先に行っとるけん!」

私は大急ぎで病棟のナースステーション目指してダッシュする。