約14時間のフライトを終えて、日本に降り立つ。

田吾作にメールを打って、入院先を確認し、すばやくタクシーに乗り込み、行き先を告げる。

ふみねぇ……どうか無事でいて。

祈りながら組む指の震えが止まらない。

その時、ケータイから着信音が。

愛からだ。

「はい!もしもし!!」
「由紀ねぇ?ふみ姉ちゃん、一命ば取り留めたよ」
「……ま、マジで?!」
「まじで。ICUにはまだ入っとるけど、今のところは大丈夫や、って」
「今の、ところ?」
「うん。かぁちゃんたちがそうゆうとった」

今のところ……
その言葉がやけにひっかかった。

「ねぇっ、愛!」
「それじゃ、待っとるけんね」

質問しようとするも、無情にも電話が切れる。

「もしもし?!愛?あ……」

溜息をついて、電話を切る。

と、ここでハッと気が付く。

携帯のバッテリー残り2%じゃん!!

「いけない!充電しなきゃだよ」

と、ここでまたまたハッと気が付く。

「充電器、NYにおきっぱだった」

やっばーーーい。

その最悪のタイミングで携帯が再び鳴る。

課長からだ!!!!

慌てて、電話に出る。

「もしもし!課長?杉原です!!」
「この、ばっ……」


ブツッ!

ツーツーツーツー……

課長の怒声にまるで怯えたかのように、携帯チャンの電源が落ちる。


ま~じ~で~す~か~。