も、もしかして……課長?

携帯を鷲掴み、コホンと声を整える。

「杉原ですが……」

「由紀ね?」

「ばぁちゃん!」

「えれぇ、都会モンごたぁ話し方すっけん、一瞬、誰だか分からんやったとね」

「うち、都会モンやけん」

「なんば言いよっとね。400億しくじったぁ聞いた時は、キモば冷やしたたい!連帯保証人っちゅーのになっとったっけん、一家で首括らんばいかんじゃろぉ思ぉて……」

「悪かったねぇ~。そんときゃ……」


田舎のばぁちゃんからの電話に懐かしくホロリと来る。

久々に聞いた九州弁。

いやぁ~、癒されるわぁ~。

「そうそう、今日、電話したんはね、由紀に見合いの話しば持って来たとさ」

おおっ!
見合い!
待ってました!

「村長さんが話ば持って来んしゃったさぁ」

「ええ~……。あの酔っ払うとお盆片手に裸踊りばするエロ村長さん?大丈夫ね?」

一気にト~ンダウン。

「よか男たい。写真を送るけん、よぉ~見ときんしゃい。
……それとも、あんたイイ人でもおるとね?」


ふと、課長の顔がよぎり、思いっきり両手を振って掻き消す。


「おらん、おらん!」

「じゃ、この話、進めて良かとね?」

「良か良か!」


ルンルン気分で、電話を切る。

サンキューばぁちゃん。

シャワーを浴びて、足のネイルを塗って、心は既にルンパッパ♪

どんな人なんだろう……


背が高くて

ハンサムで

声もゾクッて来るくらいのセクシー低音で

目元とか、口元とかもキリッとしてて

そいで、そいで、スーツとかもバッチリ決まってて……

「俺の命、お前に預けた」なぁんてカッコいいこと言ってくれて……

頼れる大人の男性がいいなぁ…………って

……これ……課長じゃん!?