「待て。俺も行こう」

「はぃいぃぃ?」

「人手が必要なんだろう?俺も手伝う」

課長がツカツカと歩み寄り、私を佐久間主任から奪回する。

「いえ。取締役にそのような雑用をお願いするわけには……」

佐久間主任が私の首に手を回し、課長から再度奪回。

し、しまってます。首が。

ほの~かにしまってます!
佐久間主任!!

「人手が多い方が早く済むだろう?
佐久間君。キッチンに案内してくれ」

課長が、私の手を引いて…ひい…ひぃぃぃ~ぇ~。

「げほっ!」

「杉原!」

「杉原君!」

「「大丈夫か?」」

私はゲホゲホと咳き込むと、二人をギロリと睨み付ける。

「い、今は、ゲホゴホッ…言い合いなんて、ゴホッ。
しとる場合じゃ、なかやろぉぉぉがぁぁぁ!!!(怒)」

二人は気まっずぅい感じで顔を見合わせる。

私は二人の手をムンズと掴むと大股で歩き出す。

「今は一刻も早くデザート作りに取り掛かりたいんです。
言い合いをしてる時間なんてありません!
お二人にはせめてネコの手くらいにはなっていただきますからっ!!」

「ネコの……」

「手……」

呆気に取られる二人をよそに、頭の中では作るべきデザートがロシアンルーレットでグルグルとフル回転し始めていた。