それでも、「おー、いて」なんて頬をさすりながらブツクサ言いつつも、車で会社まで送ってくれた佐久間主任に感謝。

始業30分前に余裕の到着。

「おはようございま……、あれっ?」

先に入っていたはずの課長が、部屋にはいない。

どうやら外部の会議に出席しているらしい。

ちょっとほっとしつつも、少しザンネ~ンなんて思いながら、課長に昨日言われた通りの榊室長の書類の山をやっつけることにする。

すごい量じゃないですか。

ヤレヤレ……。

今日中にやっつけちゃお。

書類の多さにゲンナリしつつPCを立ち上げると、PCが私の環境に設定されている。

どうやら、課長が設定しておいてくれたらしい。

ちびぃっとばかし、課長の愛を感じる。

「あれ?メールが来てる」

私宛だ。

誰からだろう?


開くと、課長からのメール。

ラブメールか?!

ウキウキしてトリプルクリック。

『よく眠れたか。実は、今夜、得意先のレセプションに呼ばれていて』

ふむふむ。

と、言うことは昨夜の続きはお預けっちゅーことね。

がっかりホッとする。


『同席を頼む』


どーせきね、どーせき。


ふむふむ……ふむっ?!


どーせきって……


あの、『同席』?!

得意先って、レセプションって、何?!

同席って、なんやねん?!


よくわかんないけど、きっと、これってパーティーの事だよね。

このスーツじゃ入っちゃいけないとこだよね、フツー。


つか、私、こう言う場所に着て行くドレスなんてシロモノ、1着も持ってないよぉぉぉ!


ムリだよ、ムリ!!

行けるわけ無いよ、そんなの!


恐れおののく私の背後でドアをノックする音がして、体がびくっと跳ね上がる。