「駅までくらいでよければ送っていきましょう」


瑞穂は先ほどまでの考えを撤回したかった。


逃げ腰なのは変わらない。
いやこればっかりはどうしようもない。

瑞穂は有明のように大人ではないので挙動不審になりかねないからだ。


「マジでぇ?!やったぁー」


のんきに有馬は喜ぶ。
「先生の車に乗れる!」と大喜びである。

きっと次の日にはさも自分だけが乗せてもらったかのように自慢するのだろう。


(てか有馬さん家超近いんじゃ・・・)


瑞穂とは方向が途中まで一緒なので何度か帰ったことがあるのだが、有馬の家は学校から徒歩10分くらいの距離だった。


「それでは準備してくるから駐車場で待っててください」


瑞穂はこの隙に逃げ出したかった。