「おーす瑞穂!」
「おはよう布津」


お互い苗字で呼び合っているがこの二人は小学校からの付き合いである。


これは深江や有馬と仲良くなる前にさかのぼる。


「…お前友達いねーの?」

「いるよー。山本さんとか川口さんとか」

(全部苗字呼びかよ…)


瑞穂のいう『友達』はどこか一線ひかれている。

その山本さんや川口さんに
「瑞穂は友達か?」
と尋ねて同じ返事が返ってくるかは危ういものだ。


(コイツは昔からそうだ…)


瑞穂は何でも話せる友達を作らない。
その理由を知っている布津はそんな瑞穂を内心、心配していた。