〈旅立ち〉

※先生目線です。
ハッピーエンドではありません。





長い長い冬だった気がする。


雪が溶けた頃、小さな蕾が花を咲かせた。

それでもまだ白い息は出て…。


遠くで君の姿が見える。
友達と一緒に笑い合いながらも、最後の別れを惜しんでいる。
時々寒そうにマフラーを直して


君の目線の先には、今から想いを告げるであろう彼の姿。


僕は見ていられないのが正直なところ。
でも、君だから最後まで見ていようとする。

僕の気持ちは隠すべきもの。
でも、これだけは言わせてくれ。




『どうか、彼女が笑ってすごせますように』




僕は何度も君の笑顔に救われた。
放課後、部活帰りの君とすれ違う時
毎回笑顔で「さよなら」と言ってくれた。

その笑顔で1日の疲れは吹き飛んだし、また明日会えることが楽しみだった。


君の気持ちを知った時、本当は苦しかった。
涙だって流した。




帰っていく生徒たちの「さようなら」という声に答えながら、
僕は君と彼が仲良く校門を出て行く姿を見送った。


報われない。そんなことは
はじめからわかっていた。



だから神様、




たとえ生まれ変わっても


僕は僕で、


彼女は彼女で。